【参考書】『数学III 標準問題精講 三訂版』の紹介

参考書

今回は旺文社の『数学III 標準問題精講 三訂版』(木村 光一 著)を紹介です。これから難関大学受験に向けて準備を始めたいけど、どんな参考書を使えば良いか分からない方や、数学の応用力を身に付けたい方にピッタリの本書について話をしたいと思います。

この本の対象となる人

  • これから難関大学受験の準備を始めたい人
  • 一通り数学IIIを学習し応用力を身に付けたい人
  • 入試の標準レベルの問題をキチンと解けるようになりたい人

となります。この本に関しては、数学IA~IIIの範囲を一通り学習していることが前提です。学力層としては河合塾の偏差値(数学)で、55~65と言った感じでしょうか。数学IA,IIB,IIIの基礎が固まりつつあり、これから難関大学受験の勉強を始める人が対象になります。

どんな本なの?

正攻法で詳しく解説が書かれている

難関大学の入試で合否の分かれ目になる問題を本書では「標問」と呼んでいますが、「標問」の解説は丁寧に書かれています。一部の問題集などで見られる「いきなり解答が始まる」や「途中計算が所々省略されている」などが少ないです。そして、解答のプロセスが簡潔にまとめられているのも特徴です。

また、本書では難しい入試問題も積極的に採用し、正面から解法を解説している印象です。小手先のテクニックを求めるではなく、じっくりと問題に向き合う姿勢が必要です。

入試の標準~やや難レベルの問題が中心

本書に出てくる問題は、入試の標準~やや難レベルです。難関大学において「合否を分ける問題」を中心に収録されています。「難関大入試の典型問題をしっかりマスターしたい」という人にとって、難関大学入試対策の最初の一冊として最適な内容となっております。

インプットとアウトプットのハイブリッド型

「標問」の解説では、問題を解くうえで必要な知識や着眼点がしっかりと書かれており、解法のプロセスも簡潔にまとめられているので、非常に分かりやすいです。また、学習した内容を確認するための演習問題(標問の類題)も用意されています。こちらは標問が正しく理解できていれば、無理なく扱える程度の良問です。演習問題まで取り組めば大学入試のかなりの部分は「顔見知り」となると思いますので、ぜひ取り組んでほしいです。

個人的におススメな使い方

重点的に取り組みたい単元から取り組む

本書では大きく分けて

  • 第1章 数列の極限と無限級数(16問)
  • 第2章 微分法とその応用(33問)
  • 第3章 積分法とその応用(41問)
  • 第4章 複素数平面(14問)
  • 第5章 式と曲線(12問)

の5章に分けられております。なお、分数関数、逆関数、合成関数単独の問題は収録されておりませんので、これらに関する理解を深めたい場合は他の参考書をあたる必要がああります。

標問(入試において合否を分ける問題)を通して問題のアプローチ方法や解答を解説しています。「精講」の部分では解答の方針や着眼点が示してあり、「解法のプロセス」の部分では解法の要点が簡潔にまとめられています。そのあたりを読み飛ばさないようにしながらじっくり解法を理解すると良いです。なお、読者の学力層を考慮してか、標問の内容を掘り下げた解説や別の観点から捉えた別解についても書かれているのも特徴です。

第1章から順々に解いていくというのも悪くないと思いますが、独立性の強い「複素数平面」や「式と曲線」などから始めることも可能です。途中で挫折してしまいそうな人こそ、最初に取り組む問題を絞って、少しずつ手を広げるようにした方がいいでしょう。

また、積分の計算に関しては多くのページを割いているので、積分が苦手な人は積分計算の章から入るのも一つかと思います。

既習の人は先に問題を解いておく

すでに数学IA・IIB・IIIの範囲において入試の基礎レベルが出来ている人は、先に「標問」を解いてから解説を読むようにするのもアリかと思います。その際、単に答えが合っている、合っていないだけに終始するのではなく、解法のプロセスをしっかり意識しながら解説を読んでほしいと思います。「精講」や「解法のプロセス」と書かれたところにも目を向けるようにして、1題1題深く理解できるようにすると良いでしょう。

また、「演習問題」も必ず解いてほしいと思います。理解したことをアウトプットすることで理解が更に深まりますし、繰り返し解くことで考え方が整理されて、解答スピードも速くなります。

以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。

今回紹介した本は数学III標準問題精講 三訂版

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