分かっているんだけど、いざ自分で解いてみると手が止まる….。そんな経験よくありますよね。
今回は \(a_{n+1} = pa_{n} + q\) 型の漸化式の問題(一般項を求めるもの)で手が止まる人向け、特に「解き方の手順を教わった時には分かる(説明そのものは納得できている)が、なぜか自力で再現できない」人向けに、思ったことを書きます。
一般的な解き方(解法手順)
- 特性方程式を解く
- \(a_{n+1} – \alpha = p ( a_{n} – \alpha )\) の形に変形する
- 等比数列の一般項の公式を使って \(a_{n} – \alpha = (a_{1} – \alpha)p^{n-1} \)の形にする
- 3.の式の左辺の\(\alpha\)を右辺に移項する
のような手順を取ります。参考書やYou Tubeの動画でこの手順の紹介や特性方程式を解く意味などを解説したものをよく見かけます。これらで疑問点が解消され再度自分で問題にチャレンジして解けるようになる人は大丈夫なのですが、2. → 3.のところで手が止まる人は次のイメージがないのではないかと思います。
数列 \(\{b_{n} \}\) って何?
大抵の場合、先ほどの解法手順の2.まで来れば等比数列に帰着されるので漸化式が解けるという説明がなされています。わかる人にとってはこれ以上説明しようがないのですが、式だけを見て等比数列だと思えてない人いませんか?この部分に関しては具体的な問題を使って話したいと思います。
例題 数列 \(\{a_{n}\} \) が次の漸化式によって定義されているとき、一般項を求めよ。
\(a_{1} = 2,\quad a_{n+1} = 3 a_{n} – 2 \)
通常の手順通りにやれば特性方程式 \(\alpha = 3\alpha – 2\) を解くと \(\alpha = 1\) が得られるので、これを用いて元の漸化式 \(a_{n+1} = 3 a_{n} – 2 \) を \( a_{n+1} – 1 = 3( a_{n} – 1) \) の形に式変形を行います。この式で \(b_{n} = a_{n} – 1 \) とおけば、\( b_{n+1} = 3 b_{n} \) となり、この式から数列 \(\{b_{n}\}\) が等比数列を表すので数列 \(\{b_{n}\}\) の一般項が分かり、ひいては数列 \(\{a_{n}\}\) の一般項が分かるとの説明が多いわけですが、「数列 \(\{b_{n}\}\) が等比数列」の部分がしっくり来ていない人は次を見てください。
与えられた漸化式から数列 \(\{a_{n}\}\) を具体的に書き出すと、初項から順に
2, 4, 10, 28, 82, ・・・
となりますので、数列 \(\{a_{n} \) – 1\(\}\) は
2 – 1, 4 – 1, 10 – 1, 28 – 1, 82 – 1, ・・・
つまり
\(\{a_{n} – 1\} :\quad 1,\quad 3,\quad 9,\quad 27,\quad 81,\cdots \)
となります。これは初項1、公比3の等比数列を表しています。そこでこの数列をわざわざ\(\{b_{n}\}\) と名前を付けて扱っていたわけです。なお、数列 \(\{b_{n}\}\) の一般項は \(b_{n} = 3^{n-1}\) であり、この数列は数列 \(\{a_{n}\}\) から1だけ引いたものでした。そういうわけで \(a_{n} – 1 = 3^{n-1}\) の左辺の-1を右辺に移項して、めでたく一般項 \(a_{n}\)が求まるわけです。
まとめ
数学というと数字をこねくり回して答えを出すイメージでいる人も多いかもしれません。ですが、特に大事なのが数式が意味していることを図やグラフ、または日本語で解釈しなおしながら考えることではないかと思います。良ければ参考にしてみてください。
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