今回は河合出版の『数III 極限,級数,微分,積分試験に出る計算演習』(中村 登志彦 著)の紹介です。数IIIの問題を解いていて計算ミスをよくする人や計算力に不安がある人にピッタリの本書について話をしたいと思います。
この本の対象となる人
- 数IIIの極限,級数,微積の計算力を高めたい人
- 数IIIの入試問題になると計算ミスをよくしてしまう人
となります。この本に関しては、数学IA~IIIの範囲を一通り学習していることが前提です。決して初心者用の入門書ではないので注意が必要です。学力層としては河合塾の偏差値(数学)で、45~と言った感じでしょうか。数学IIIの計算力を高めたい人が対象になります。
どんな本なの?
数IIIの極限,級数,微分,積分の計算だけに焦点を絞っている
本書では数IIIの極限,級数,微分,積分の計算問題だけが収録されています。入試で出てくる計算は複雑で難しく面倒な場合が多いわけですが、この対策をするために教科書傍用問題集で繰り返し練習してもなかなか出来るようになりません。なぜなら、教科書傍用問題集は公式や定理を覚えるためのものだからです。
そこで、実際の入試問題で出てきた計算問題だけを集めて作られたのが本書です。設問としてそのまま出てきたものもあれば、解答の途中に出てきたものもあります。入試問題で出てくる計算を集中して練習することで、実践力を養うことが目的になっているのが特徴です。
教科書レベル~やや難レベルの問題が中心
本書に出てくる問題は、教科書レベル~やや難レベルです。すぐに答えが出る問題もあれば、それだけで立派な大問になってしまうものまで幅広く収録されています。
典型的なアウトプット型の問題集
本書はある程度、数IIIの計算方法が分かっている人に向けた問題集です。例題を用いて計算方法を詳しく解説している部分がないので注意が必要です。とにかく、繰り返し練習して計算力を身に付けるタイプの問題集になります。また、問題の解答解説も非常にさっぱりしているので、気を付けてほしいところです。
個人的におススメな使い方
比較的易しい問題から取り組む
本書では大きく分けて
- 第1講 指数・対数・三角関数の基本公式(公式の確認のみ)
- 第2講 数列の極限(30問)
- 第3講 級数(35問)
- 第4講 関数の極限(60問)
- 第5講 微分法(115問)
- 第6講 積分法(155問)
- 第7講 区分求積法(10問)
の7講に分けられております。1ページに5問ずつ載っており、各ページにlevelが設定されています。levelは
- level.1 教科書の問レベル
- level.2 入試の標準問題に出てくる計算レベル
- level.3 入試の標準問題に出てくる計算レベル
- level.4 入試のやや難しい計算レベル
- level.5 これだけで大問になりうるかなり難しい計算レベル
に分かれています。これを目印にしてまずは網羅的に難度の低い問題から取り組むのもアリかと思います。第1章から順々に解いていくというのも悪くないと思いますが、途中で挫折してしまいそうな人こそ、最初に取り組む問題を絞って、少しずつ手を広げるようにした方がいいでしょう。
問題の総数が405問あり、難度の高い問題を早々にやってしまうと実力が付く前に投げ出してしまう可能性がありますので、途中で挫折しない工夫が必要です。
すきま時間を利用してちょっとずつ問題を解く。
まとまった時間をとって集中的に解くのも良いですが、この手の計算問題については定期的に練習することが大切です。level.1~3であれば1ページ5分~15分程度で出来るものも多いので、ちょっとずつ繰り返し練習すると良いです。
何度も言いますが、複雑でめんどくさい問題も含まれており、すべてのレベルを完璧にという姿勢にこだわりすぎると途中で挫折しかねないです。比較的易しい問題を繰り返し練習し、地力を上げることで難しい問題に挑めるようになってくると思います。
以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。
今回紹介した本は数3極限,級数,微分,積分試験に出る計算演習 (河合塾シリーズ)
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