今回はKADOKAWAの『改訂版 志田晶のベクトルが面白いほどわかる本』を紹介したいと思います。大学入試数学で苦手としている人が多いベクトルに関して解説した参考書です。本書は2010年に刊行された『トコトンくわしい 決定版 志田晶の ベクトルが面白いほどわかる本』を改題して再編集したものになっております。旧版より更にわかりやすくパワーアップされた感じになっておりますので、これについて話をしたいと思います。
この本の対象となる人
- ベクトルを得意にしたい受験生
- 中堅国公立大~難関大学志望の人
- 東大・京大などのトップレベル大学対策の基礎固めをしたい人
となります。この本に関しては数学Bのベクトル(空間ベクトルを含む)と数学Aの図形の性質を一通り学習していることを前提としております。ですので、教科書の例題レベルの解法については習得しているのが望ましいでしょう。学力層としては河合塾の偏差値(数学)で50~と言った感じでしょうか。もちろん、この偏差値に到達していなくても意欲的な人は読み進められるように書かれているの心配しなくて大丈夫です。
どんな本なの?
定義の確認や解答の方針も詳しく書いてある
本の構成としては26のテーマ(章)に分けて解説されており、それを理解するための問題が5~6題用意されています。一応、教科書での学習が一通り終えていることを前提としておりますが、必要に応じて教科書の内容(公式・定義の確認)から解説をはじめているところも多いです。
問題を解く際の方針や実際の解答での計算について非常に詳しく書かれています。一部の問題集などで見られる「いきなり解答が始まる」や「途中計算が所々省略されている」などが極めて少ないのが特徴です。また、間違えやすいところや知っておくと良いことなど補足事項も書いてあり、親切な作りになっています。
外積など発展的な内容も解説されている
本書では受験生が苦手とする空間ベクトルについても詳しく書かれております。特に平面の方程式や外積については学習が手薄になったり、知っていると便利なことも多いので勉強しておくと良いでしょう。なお、四面体の体積を求める典型的問題では、外積、平面の方程式、点と平面の距離の公式を活用すると簡単に求めることが出来ます。
インプットとアウトプットのハイブリット型
この参考書の良いところは巻末に問題一覧がついているところです。解説が詳しい(講義系)参考書では少し珍しいタイプの本です。また、問題量も豊富なので、アウトプットのために利用することも可能です。
個人的におススメな使い方
ベクトルに自信のない人は基礎編から順々に読む
この本の目次のところを見てもらうとわかるのですが、20のテーマ(章)が
- 基礎編
- 平面ベクトル編
- 空間ベクトル編
- 発展編
の4つに分けられております。ベクトルに自信のない人は「基礎編」から一つずつ取り組んで欲しいと思います。その際、特にうろ覚えになっている定義や定石がないか確認してみてください。ベクトルを苦手にしている人や自信が持てていない人は、そもそも定義を理解していなかったり、典型問題の定石や解法が身についていない場合が多いです。
「空間ベクトル編」までをしっかり取り組むようにすれば、相当自信がつくと思います。
一通りの定石・解法が身についている人は、しっかり時間を取って先に問題を解いておく
ベクトルに関してある程度自信のある人は問題一覧で先に解いてみてから、解説を読んでみると良いと思います。その際に、自分の方針・考え方と解答解説のやり方の違いを意識しながら取り組みましょう。答えだけ確認して満足しているようではダメです。
難関大を目指す人は必ず「発展編」まで取り組む
「発展編」では「空間ベクトル編」までの事柄を使って色々な問題へのアプローチをしていきます。特に難関大学に出題されやすい問題ではベクトルを道具として使いこなす力が重要になってきますので、ベクトルの使い方を熟達させる意味でもじっくり取り組んで自分のものにしてください。
以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。
今回紹介した本は改訂版 志田晶の ベクトルが面白いほどわかる本
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