【問題集】『文系数学の良問プラチカ 数学IAIIB(河合出版)』の紹介

問題集

今回は河合出版の『文系数学の良問プラチカ 数学IAIIB』を紹介です。2002年に出版されてから入試数学の問題集として様々なところで紹介されている良書です。もはや解説不要感はありますが、今回はこの本についてお話します。

この本の対象となる人

  • 難関大学受験を見据えた学習(数学)をしたい受験生
  • 難関大学レベルの問題になると解けなくなる方

となります。この本に関しては数学IAIIBの内容を一通り学習していることを前提にしています。したがって先取り学習をしたい人向けではなく、網羅系参考書の解法を学習し終えて更なるレベルアップを目指す方向けです。扱っている問題は入試のやや易~やや難レベルの問題なので、注意しましょう。河合塾の偏差値で言えば55前後~の方が対象でしょうか。もちろん、これに達していない方でも意欲的な人でも取り組めるかと思います。

どんな本なの?

入試の標準~やや難レベルの問題が中心

本の構成としては数学IAIIBの内容の中で一通り学習しておきたい問題149問が収録されています。そのうち程度が高い問題については † (ダガー)印がついており、こちらは11問あります。一つ一つの問題に丁寧な解答が付けられており、解説の部分では解答の補足説明が書かれております。難関大学受験で数学を使うのであれば、本書に載っている問題にじっくり時間をかけるのも良いかと思います。

別解や補足事項も豊富に載っている

本書の解答では適用範囲の広い一般性のあるものが本解答になっておりますが、ほかにも方法がある場合は別解として載っています。ですので、最初に書かれている解法がしっくりこない場合は別解にも目を通して、自分にしっくりくる解法を先に身に付けておくという姿勢を取ると良いでしょう。また、参考内容や補足事項も多く掲載されているので、1回目の学習では余裕がない場合でも2回目、3回目の学習で学力的に余裕が出てくればしっかりと見ておくと良いでしょう。

アウトプット型の問題集

本書では入試標準レベル~やや難レベルの問題が中心であり、まず問題が無印の138題に取り組むのが良いでしょう。この際、10分程度考えて方針が立たない場合は解答編の「解法のメモ」を読んでさらに10分程度考えてみるようにしましょう。わからないからと言ってすぐに解答・解説を読むのではなく、入試の実践を意識して20~30分程度は自分なりに考えてから、解答・解説を読んで欲しいと思います。その上で、最終的に自分で再現できるまで繰り返し解くことをおススメします。もし、まったく手も足も出ない状況だとすれば、それは本書のレベルよりも自分の実力が著しく劣っている証拠ですので、もう少し易しい問題集を使わなければならないでしょう。ちなみに姉妹書の理系数学の良問プラチカ 数学IAIIBよりも本書は難しいので注意をしましょう。

また、出来る限り別解の理解にも時間を割いて欲しいところです。別解が何故大切なのかというと、いろいろなアプローチ方法を経験することで、試験会場での行き詰まりの打開力養成につながるからです。ですので、別解の学習に対して消極的だった方はこれを機に是非とも取り組んで欲しいと思います。

個人的におススメな使い方

分からないなりに考えてじっくり取り組む

本書レベルの問題が難関大受験では実力差が現れる問題の一つかと思います(典型問題・有名問題が多く収録されているため)。そういった問題が解けるようになるかどうかが、合否に関わってきます。まずは自分なりに手を動かしながら問題に20分程度で取り組んでみてください。その中でアプローチの仕方を考えてみましょう。最初のうちは全然解法が浮かばないこともあるかと思いますが、その際は解答をじっくり読み、内容理解に時間をかけた上で再度問題を解いてみましょう。その繰り返しをすることで徐々に解法や方針が立つようになってきます。

解けそうな問題、興味がある問題から手を付けてみる

どうしても最初から順々に解きたくなってしまいますが、数学IAIIBの内容を一通り学習しているのであれば、自分の解きたい単元から解き始めるのも良いかと思います。苦手分野から始めるのでもいいですし、逆に得意な分野を伸ばすためそのその分野から取り組むのでもいいです。入試の実践レベルに少しでも早く・多く触れることが大切です。

テーマを決めて取り組む

本書は

  • 第1章・・・・2次関数、2次方程式、2次不等式
  • 第2章・・・・三角比
  • 第3章・・・・場合の数、確率
  • 第4章・・・・図形の性質
  • 第5章・・・・整数
  • 第6章・・・・いろいろな式
  • 第7章・・・・図形と方程式、不等式
  • 第8章・・・・三角関数
  • 第9章・・・・指数関数、対数関数
  • 第10章・・・・微分法、積分法
  • 第11章・・・・数列
  • 第12章・・・・ベクトル

の12部構成になっています。基本的には学校で学習する順番に単元が載っていますが、どこの問題からでも解き始めることができます。ですので、例えば

  1. 関数に関する問題だけ解く
  2. 図形をテーマとする問題だけ解く
  3. 軌跡の問題だけ先に解く

などのように解き進めることも有効でしょう。このような単元にとらわれない視点での学習も実践的です。実際に過去問を解いてみるとわかるのですが、入試問題では一見するとどの単元の問題なのかわからないことが多々あるからです。

以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。

今回紹介した本は文系数学の良問プラチカ 数学1・A・2・B (河合塾シリーズ 入試精選問題集 4)

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