中学の頃の定期試験では考えられないような点数を取ってしまうのが高校数学の怖いところです。それを体験した人も多いことと思います。今回はそんな定期試験の勉強法を載せていきます。「そんなのあっちこっちのサイトで載ってるじゃん」という意見も聞こえてきそうですが、巷にあふれている定期試験勉強法に関して「?」が付くところがあります。その点を解説しながら、「ではどのように勉強すべきか」ということを話していきます。
よくある「高校数学の定期試験勉強法」の問題点
まずはよくある「高校数学の定期試験勉強法」の問題点について話をしていきます。これを読んでもらえば「確かに…」や「ホントそれな!」と思ってもらえることでしょう。
他教科の勉強が考慮されていない
高校に入ると色々な科目を勉強することになります。中学で理科と言われていたものは「物理」「化学」「生物」「地学」に分かれ、社会では「世界史」「日本史」「地理」「政治経済」「倫理」「現代社会」の細分化されます。もちろんこれらすべてを履修するわけではなく、学校のカリキュラムや生徒の進路選択によって履修する科目が異なります。それでも中学の頃に比べて勉強すべきことが増えることには変わり有りません。そんな事情があるにも関わらず、世の中のサイトで載っている”効率の良い”数学の学習方法を読んでみると要は、
1.公式を覚える
2.公式を当てはめるだけの問題をひたすら解く
3.問題の解法を理解し、それを再現する
というものです。確かに”効率が良く”もっともだと思いますが、考えなければならないのは3.の「 問題の解法を理解し、答案を再現する 」ところです。一体、どの問題の解法を理解すれば良いのかが書かれていないため、実際にやってみると「何をどれだけやればいいの?」となってしまいます。そうなると問題集を網羅的にやってしまうために時間がかかってしまい、他科目の勉強時間が削られることになってしまいます。他科目は大丈夫ということであれば別ですが、全体的に見たときに数学の成績が上がる分以上に他科目の成績が下がってしまう可能性が高いです。果たしてこれは定期試験の勉強法としてOKなのでしょうか?数学だけ勉強していればよい生徒は皆無なはずです。
生徒の数学の成績状況を考慮していない
テストでの点数を上げるといっても、もともと50~60点取れている状態から80~90点取れるようにするのと、20~30点しか取れない状態から50~60点取れる状態にするのでは学習内容や勉強方法が違うことは、皆さんの経験上ご承知いただけることかと思います。ですが、そのあたりがゴッチャになった勉強方法を見かけることがあります。20~30点しか取れない場合は、そもそも公式や定理の内容や使い方があやふやだったりして、適切に運用できないのが原因です。一方で、
50~60点取れている状態では教科書の例・例題レベルは解けているが章末問題などになると苦戦するといった状況です。したがって、数学の成績状況を考慮した学習をいかにするかがポイントになってきます。
具体的にどんな数学の問題集や参考書を使うか書かれていない
意外かもしれませんが、これは非常に多いです。もちろんちゃんと書いてあるサイトもありますが、だいたいの場合は学校で配られる教科書傍用問題集や参考書の名前です。教科書傍用問題集の場合、その内容からテストに出ることが多いのでやっておくべきなのですが、解答・解説が生徒にとって不十分であり、解答を再現しづらい点です。再現のしづらさが数学の学習時間を多くしている理由のひとつです。この部分をクリアするような問題集や参考書を使わなければいくら時間があっても足りません(数学だけ勉強していれば良い訳ではありません)
部活や体力のことが考慮されていない
高校生は色々と忙しいものです。部活や課外活動などで思いのほか時間がとられるばかりか、学校によっては定期試験1週間前にもかかわらず、部活の練習や試合が入ってきます。特に大会などは一つの高校の状況だけを考慮しているわけではないので、試験期間の前後に部活の大会が入ってくることがあります。体力や時間は限られているので、問題集の問題を満遍なくやるのはかなり大変です。最優先でやるべき問題がわからないまま、「公式を覚え使いこなし、そして問題の解法暗記&答案の再現」をやるのはある意味非効率と思わざるを得ません。
どのように高校数学の定期試験対策をするか
以上のことを踏まえ、生徒の数学の成績状況別に学習方法を述べていきたいと思います。ただし、これからお話しする方法は大学受験をする生徒が多い学校の定期試験についてになります。
40点未満の場合
この場合、赤点か赤点より少し良いという状態です。先ほども少し触れましたがこの場合、数学の公式や定理の使い方自体が怪しい傾向にあります。まずはその習得に時間と労力を割くべきです。ではそれを実現するために使う問題集や参考書はどれが良いのでしょうか。私のオススメは
「大学入試短期集中ゼミ基礎からの数学I+A Express(2020) 10日あればいい!」
「大学入試短期集中ゼミ基礎からの数学II+B Express(2020) 10日あればいい!」
タイトルには大学入試と書いてありますが、上記の二つは定期試験に十分使えます。むしろハッキリ言って教科書の例や例題レベルが中心です。個人的にはここがポイントの一つで、教科書の例・例題レベルの問題がしっかりと解説されており、公式を使う練習にも十分使える点です。もう一つのポイントは問題が厳選されている点です。実際に手を取って中をめくってみるとわかるのですが、本自体がものすごく薄くて「こんなに問題数が少なくて大丈夫なの?」と思うくらいです。しかし、考えてみてください。試験範囲を満遍なくやろうとしすぎて結局どの問題もあやふやな状態で試験に臨むのが、赤点スレスレの点数を取ってしまう原因です。であれば、まずは「この問題は百発百中!」と言うものを少しでも多く作ることが先のはず。試験範囲の問題には難度が高い問題も含まれていますが、「数学の〇〇先生は意地悪だからこの難しい問題もテストに出るかも」などと考えてしまうと、どうしてもその問題もやりたくなるものです。ですが、それは本当にあなたがやるべき問題でしょうか?それよりも先に学ぶべきことがあるのではないのでしょうか?その取捨選択ができる生徒であれば問題ないですが、それができないから困っているわけです。そこで、解くべき問題を絞った「10日あればいい」シリーズの一番易しいレベルのものを繰り返しやり、その解答の再現性を高めるようにしてください。
40点~60点の場合
「赤点は取らないけどもっと成績を上げたい!」という方が多い点数帯です。このあたりになってくると教科書の基本事項は抑えられているが、少し難しい問題(公式や定理を使うだけでは解けない問題)では問題へのアプローチや基本事項をもう少し深く理解していることが必要です。そんな場合にオススメなのは
「 大学入試短期集中ゼミ数学1+A(2020) 10日あればいい! 」
「大学入試短期集中ゼミ数学2(2020) 10日あればいい!」
「大学入試短期集中ゼミ数学B(2020) 10日あればいい!」
「またか」という声が聞こえてきそうですが、こちらの「10日あればいい」は先ほどのものより1ランク難易度が上がっていますが定期試験の点数アップに一役買います。お気づきかもしれませんが、定期試験で70点以上取るためには教科書の章末問題レベルや大学入試における典型が解ける必要があります。なぜかというと大学受験をする生徒が多い学校では、1、2年生のうちから定期試験で大学入試の典型問題を出題することにより普段の学習が入試につながるように配慮しているからです。一度大学受験を経験すればわかりますが、高校3年生から大学入試問題レベルの問題を解き始めても普通間に合いません。「そんなことは知ってるよ!だからこそ学校で配られる分厚い参考書を丁寧にやればいいのでは?」と思うかもしれませんが、これも実際やってみると「参考書のどの問題から優先して取り組んで良いか分からない」ものです。とりあえずテスト範囲を順番に…という感じでやってしまうと一通りやるので精一杯で、答案の再現性を高めるための時間が取れないのが関の山です。そこで、先に解くべき問題が厳選された「10日あればいい」シリーズの解答を再現できるために時間を使い、そのあとで学校指定の問題集・参考書の問題を解くことをオススメします。ちなみにこちらの本も薄くて繰り返しやるのに丁度いい感じになっております。特に「分厚い参考書や問題集を繰り返しやるのは気が重い…」という生徒にはなおさらオススメです。
まとめ
以上のように長々と書いてしまいましたが、多忙な高校生にとって定期試験で大事なことは「解けるようになるべき問題の優先順位をいかにつけるか」ということと「答案再現力をどのようにつけるか」の2点に集約されると思います。この部分を軸に定期試験の勉強をしてみてください。