今回は河合出版の『教科書だけでは足りない 大学入試攻略 整数』を紹介です。整数の分野と言いますと、教科書のレベルと入試のレベルの乖離が最も激しい分野の一つです。大学入試の問題となると、なかなか解けないという人にはおススメな1冊なので、今回はこの本についてお話します。
この本の対象となる人
- 大学受験を見据えた学習(数学)をしたい理系受験生
- 入試のレベルの問題になると解けなくなる方
となります。この本に関しては数学I・Aの内容を一通り学習しており、なるべく数II・Bの内容まで学習しておく方が良いでしょう。先取り学習をしたい人向けではなく、教科書の例題レベルの解法は知っているが入試レベルになると解けない(方針が立てられない)方向けです。扱っている問題は入試のやや易~やや難レベルの問題なので、注意しましょう。河合塾の偏差値で言えば55前後~の方が対象でしょうか。もちろん、これに達していない方でも意欲的な人でも取り組めるかと思います。
どんな本なの?
入試のやや易~やや難レベルの問題が中心
本の構成としては例題が28題ありその類題が28問収録されています。一つ一つの例題と類題に丁寧な解答が付けられており、別解も豊富です。難関大学受験で数学を使うのであれば、これらの例題・類題に時間をかけてるのも良いかと思います。さらに力試しの問題が25問ついております。こちらは難度の高い問題も多いですので、例題とその類題の学習が終わってから別途学習することをおススメします。
別解も豊富に載っている
整数問題は多角的なアプローチが出来る分野でもあります。そのため、本書では別解も多く載っています。ですので、最初に書かれている解法がしっくりこない場合は別解にも目を通して、自分にしっくりくる解法を先に身に付けておくという姿勢を取ると良いでしょう。
インプットとアウトプットのハイブリッド型
本書では入試やや易レベル~やや難レベルの問題が中心であり、どれもじっくりと取り組んで欲しい問題です。5~10分程度で解答・解説を読むのではなく、入試の実践を意識して20~30分程度は自分なりに考えてから、解答・解説を読んで欲しいと思います。なお、本書の解答のページでは著者の視点が所々書いてありますので、どういった視点で問題を解き進めているのか確認しながら読んで行きましょう。最終的に自分で再現できるまで繰り返し解くことをおススメします。
また、出来る限り別解の理解にも時間を割いて欲しいところです。別解が何故大切なのかというと、いろいろなアプローチ方法を経験することで、試験会場での行き詰まりの打開力養成につながるからです。ですので、別解の学習に対して消極的だった方はこれを機に是非とも取り組んで欲しいと思います。
個人的におススメな使い方
分からないなりに考えてじっくり取り組む
本書レベルの問題が難関大受験では実力差が現れる問題の一つかと思います。そういった問題を解けるようになるには、典型問題の処理だけでは足りません。自分なりに手を動かしながら例題を20分程度で取り組んで見てください。その中でアプローチの仕方を考えてみましょう。最初のうちは全然解法が浮かばないこともあるかと思いますが、その際は例題の解答をじっくり読み、内容理解に時間をかけた上で類題を解いてみましょう。その繰り返しをすることで徐々に解法や方針が立つようになってきます。
解けそうな問題、興味がある問題から手を付けてみる
どうしても最初から順々に解きたくなってしまいますが、本書は一つ一つの問題が独立しているのでその必要はありません。大事なのは出来るだけ多くのテーマに取り組みそこからちょっとでも色々なアプローチの仕方を吸収することです。そうする中で、取り組み始めたことは方針も立たなかったような問題も、とりあえず一つぐらいは方針が立つようになってきます。この差は非常に大きいと思います。
テーマを決めて取り組む
本書は
- 第1章・・・・基本用語の確認
- 第2章・・・・重要例題+類題
- 第3章・・・・力だめしの問題
の3部構成になっています。目次のページに問題のテーマが書いてありますので興味のある問題から始めるのも良いと思います。どのテーマも大学入試の整数問題ではよく見かけるものが収録されています。極端に言えば最初のうちは例題の理解だけに専念しても良いです。整数問題が苦手な人はそもそも積極的に問題に取り組もうとしない傾向にありますので、少しでも多くの問題に触れるようにしましょう。
以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。
今回紹介した本は教科書だけでは足りない大学入試攻略整数 (河合塾シリーズ)
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