今回は河合出版の『教科書だけでは足りない 理系受験生のための図形問題』を紹介です。ある程度のレベルの図形問題は解けるけれども、ベクトルや軌跡、数学IIIの微積分が絡む図形の問題になるとなかなか解けないという人におススメな1冊なので、今回はこの本についてお話します。
この本の対象となる人
- 大学受験を見据えた学習(数学)をしたい理系受験生
- ベクトルや座標が入った図形問題になると解けなくなる方
- 数学IIIの微積分が絡んでくると解けない方
となります。この本に関しては数学IA・IIB・IIIの内容を一通り学習していて欲しいところです(場合の数・確率を除く)。先取り学習をしたい人向けではなく、典型問題の解法は知っているがいくつかの分野を跨ぐ図形の融合問題が解けない方向けです。扱っている問題も入試の標準~やや難レベルの問題なので、注意しましょう。河合塾の偏差値で言えば60前後~の方が対象でしょうか。もちろん、これに達していない方でも意欲的な人でも取り組めるかと思います。
どんな本なの?
入試標準~やや難レベルの問題が中心
本の構成としては63題の問題が収録されています。一つ一つの問題に丁寧な解答が付けられており、別解も豊富です。難関大学受験で数学を使うのであれば、これらの問題に時間をかけてるのも良いかと思います。ちなみに、こちらの問題ではすべての分野の図形問題(複素数平面など)が収録されているわけではありません。ですので、そういった未収録分野の問題については別途学習することをおススメします。
北海道大学の問題が若干多く載っている
本書の著者は北海道地区を拠点に予備校の仕事をされている方のようで、問題のセレクトも若干北海道大学の問題が多いようです。問題数を数えると11題です。この他に解答・解説のページにも参考問題としていくつか北海道大学の過去問が紹介されています。もともと、北海道大学の問題では図形絡みの問題が多く出題されていたことも要因かと思われます。
どちらかというとアウトプット型
本書では入試標準レベル~やや難レベルの問題が中心であり、どれもじっくりと取り組んで欲しい問題です。5~10分程度で解答・解説を読むのではなく、入試の実践を意識して20~30分程度は自分なりに考えてから、解答・解説を読んで欲しいと思います。なお、本書の解答のページでは著者の視点が所々書いてありますので、どういった視点で問題を解き進めているのか確認しながら読んで行きましょう。最終的に自分で再現できるまで繰り返し解くことをおススメします。
個人的におススメな使い方
分からないなりに考えてじっくり取り組む
本書レベルの問題が難関大受験では実力差が現れる問題の一つかと思います。そういった問題を解けるようになるには、典型問題の処理だけでは足りません。自分なりに手を動かしながら20~30分時間を取って取り組むことが必要です。その中でアプローチの仕方が身についていきます。逆に全く何も思い浮かばないということであれば、本書のレベルと読者のレベルに乖離がありすぎるということですので、もう少しレベルを落とした(実力にあった)問題集に取り組む方が良いと思います。
解けそうな問題、興味がある問題から手を付けてみる
どうしても最初から順々に解きたくなってしまいますが、本書は一つ一つの問題が独立しているのでその必要はありません。大事なのは出来るだけ多くの図形問題に取り組みそこからちょっとでも色々なアプローチの仕方を吸収することです。そうする中で、取り組み始めたことは方針も立たなかったような問題も、とりあえず一つぐらいは方針が立つようになってきます。この差は非常に大きいと思います。
テーマを決めて取り組む
本書は
- 第1章・・・・図形問題の基礎
- 第2章・・・・平面図形
- 第3章・・・・空間図形
- 第4章・・・・融合問題
- 第5章・・・・分野不明問題
- 第6章・・・・演習問題(第1~5章のまとめ)
となっています。自分なりにテーマを決めて、好きな章から始めるのも良いと思います。個人的には分野不明問題こそ難関大学受験で解けるようになって欲しいです。というのも、こういう問題こそ、自分でアプローチする力を高める問題だからです。
以上のことを踏まえてこの本に興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。
今回紹介した本は教科書だけでは足りない大学入試攻略理系受験生のための図形問題 (河合塾シリーズ)
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