今回は東京出版の『大学への数学 新数学スタンダード演習』を紹介します。特に難関大学受験を考えている受験生にとっては、問題演習する上で適度なレベルの問題集になります。今回はこの問題集について話をしたいと思います。
この本の対象となる人
- 大学受験を見据えた学習(数学)をしたい人
- 数学の応用力を身に付けたい人
となります。この本に関しては学校等で一通り数学IA・IIBの学習を終えている方が良いでしょう。ですので、先取り学習のために使うのにあまり適さないので注意して欲しいところです。また、「ミニ講座」は発展的な内容も含まれていますので、読める人だけ読むと良いと思います。
対象となる学力層としては河合塾の偏差値(数学)で55~と言った感じでしょうか。もちろんこれに達していない方でも、この本の中で読めそうなところや興味がある部分だけ拾い読みすることも可能なので、まずは手に取ってみるのも良いでしょう。
どんな本なの?
入試の標準~やや難レベルの問題が中心の問題集
本の構成としては単元ごとに15の章に分けて問題が収録されております。網羅系参考書(チャート式やFocus Goldなど)で一通りの解法・定石を勉強した後で、それらをさらに定着・応用させるための問題集として有用です。
本書では問題の難易度をA(入試基礎レベル),B(入試標準レベル),C(入試やや難レベル),D(入試難レベル)で表しており、本書に収録されている問題のうちBレベルの問題が8割強です。もし難関大学入試で数学を使うのであれば、標準レベルの問題の完成度が重要ですので、そういった観点では仕上げの1冊として最適です。
解答・解説はそれほど詳しくない?
解答・解説のページはどの単元もそれほど詳しくありません。詳しい解答・解説が好みという人には少し物足りないかもしれません。一方で詳しすぎない解答の方が好きな人には丁度いい内容かと思いますので、実際に本書を使うかどうかの判断基準の一つとして解答のページを確認するようにしましょう。
アウトプット型の問題集
解法・定石の定着応用を目的とした問題集となります。問題数・問題のバリエーションも十分な一冊なので、じっくり時間をとって取り組んでほしい問題集でもあります。ですので、受験までに時間がない場合は最初から手を付けないか、単元を決めて取り組むほうが良いと思います。
個人的におススメな使い方
単元ごとに取り組む
本書では300問収録されています。それらが
- 数と式
- 方程式・不等式
- 集合と論証・命題
- 関数(1次・2次)
- 数列
- 場合の数
- 確率
- 整数
- 座標
- 平面ベクトル
- 空間ベクトル
- 三角・指数・対数関数
- 図形
- 微分法・積分法(数式)
- 微分法・積分法(図形)
- 総合演習(数式)
- 総合演習(図形)
に分けられて収録されています。ですので、単元別の学習が可能です。どの単元も独立しておりますので、苦手な単元から取り組むのも良いですし得意分野の強化から始めても良いと思います。必ずしも前から順々に解いていく必要はないと思います。
自分でテーマを設定して解く
例えば、「図形に関連する問題」「関数に関連する問題」「数式に関連する問題」など、自分でテーマを設定してそれから本書の問題を読むのも良いでしょう。関連性があることで覚えやすかったり、理解しやすくなったりすることも多いと思います。本書でも微積分や総合演習の章では「数式」「図形」で分かれていますので、それを目安に取り組むのも良いと思います。
自信のある人は「総合演習」から解いてみる。
大学の過去問を1セット解いてみるとわかるのですが、複数分野・単元を跨ぐ問題が少なからずあります。むしろそういった問題をどう攻略するかが合格のカギの一つです。本書では合格点をとるための実践力を養うための章として「総合演習」が用意されています。単元別の問題についてある程度自信のある人はこちらから解いてみて、自分でも気づいていない弱点があるようであれば、その単元・分野だけ該当の章で問題演習をしてみるのも良いかと思います。そのうえで改めて総合演習の章に戻って完成度を高めてみてください。
以上のことを踏まえてこの本の興味を持たれた方はぜひ一度本書を手に取ってみてください。
新数学スタンダード演習 2020年 04 月号: 大学への数学 増刊
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